Dont` Worry About*
寒いホームの廊下を、僕はリナリーと話しながら、自分の部屋へと向かうために歩いていた。
今は12月。 もうすぐ、クリスマスイヴが来る。 ・・・サンタが来る。
皆は、サンタクロースがプレゼントをくれたこと、あるのかな。
僕は、サンタなんて信じたことはなかった。
小さい時、マナが死ぬ前だって、サンタは僕の前に、現れたことなかった。 もちろん、プレゼントも・・・。
隣りでリナリーが、コムイさんのことを何か喋っている。
けど、・・・・何故だろう、耳の奥までは、その声は届かなかった。
「アレン君? 聞いてる?」
「は、はい、聞いてますよ。 ・・・って、言ってる間に着いちゃいました。」
「本当だわ。 じゃ、明日ねっ。 アレン君、おやすみなさい。」
「おやすみなさい、リナリー。」
ドアを開けて、中の外と変わらない冷たい空気をすぅーと吸い込む。 自分の部屋って、落ち着くなぁ。
部屋の中は真っ暗で、何も見えない。
明かりをつけようと、手をスイッチのところまで伸ばした。
パチンッ
「!」
明かりをつけると、ベッド・・・というか、布団がもぞもぞと動いている!? ま、まさか・・・・。
「ね・・ずみ・・・?」
恐る恐るベッドへ近づき、近くにおいてあった本を手に、ガバァッと布団をめくった。
が、そこに居たのは、ねずみではなく・・・・。
「・・・だ・・・、だれ・・・?」
見知らぬ、女の子だった。
教団の子だろうか、エクソシストが着る、お馴染みの十字模様が入った服を少し寝相で乱して、まるでコタツで丸くなるような子猫のように丸くなって、眠っている。
「んぅ・・・・、まぶぃぃ・・・っ」
明かりが眩しかったんだろうか、コロリと避けた布団へ顔をうずめて、また規則正しい寝息を立て始める。
「・・・? 赤い、ブーツ?」
女の子は、布団の中だと言うのに、赤いブーツを履いたまま眠っていた。
が、布団は汚れていないため、このブーツは部屋内で履く、スリッパのようなものなのか、と僕は自己納得した。
「コムイさんを呼んだほうがいいのかな・・。 呼んでみよう。」
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